フリーダム・ファイターからガンダムへ

当初の企画『フリーダム・ファイター』ではロボットを登場させる
つもりはなかったという。
『宇宙戦艦ヤマト』とジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』に
ヒントを得て、宇宙戦艦に乗り込んだ少年少女が宇宙戦争の中で
協力しながら生き延び成長するという点は『ガンダム』と共通している。
この時点では主人公たちは宇宙戦闘機に乗り込み、異星人と戦うという
設定であった。

しかしクローバーはあくまで巨大ロボットもの、それも「変形・合体」
といったおもちゃとして楽しめる仕掛けを備えたものを要望した。
企画に詰まったスタッフに相談を持ちかけられたSF作家でスタジオぬえの
一員である高千穂遥は、ロバート・A・ハインラインのSF小説『宇宙の戦士』の
一読を薦めた。
これに登場する装甲強化服「パワードスーツ」を元に考案されたのが全高18mの
「モビルスーツ」である。この時点での仮題は『ガンボーイ』であった。
これがアメリカでトラック軍団を指す「コンボイ」と掛け合わせて『ガンボイ』に、
さらにチャールズ・ブロンソンがテレビコマーシャルで流行語にした
「う〜ん、マンダム」のイメージから『フリーダム』のダムとかけて
『ガンダム』という名前が生み出された。

最終的に、主役機「ガンダム」は上半身と下半身の間に小型戦闘機を
変形させて組み込むという形を採り、サポートメカとして登場する
「宇宙の戦士」に登場するパワードスーツに着想を得たデザインの
「ガンキャノン」と戦車風の「ガンタンク」もこのシステムを取り入れる
こととした。

これら3機はそれぞれ一機種一体の試作機であるものの、「ザク」をはじめと
したジオン側のモビルスーツは多数の同形機が存在する量産兵器とされた。
そしてモビルスーツは主役機と言えども一体で戦局が一変することは
ほとんどない。
ザクに続く新型機として登場する「グフ」や「ドム」などや、ガンダムを
元に量産された連邦軍の「ジム」もまた数多く登場する。
一方、モビルスーツの存在意義に説得力を持たせるために、
ミノフスキー粒子という架空の粒子が設定された。これはレーダーや
電波誘導兵器を攪乱・無効化することでモビルスーツ同士の白兵戦に
説得力を持たせるものである。アニメとしての制約の中でも無重力状態の
描写などにも注意が払われ、細かい設定によって作品世界に奥行きと現実感が
持てる作品となっている。
こうしたリアリティを重視した設定から、『機動戦士ガンダム』はそれまでの
巨大ロボットがヒーローとして扱われるスーパーロボット作品から一線を画す、
リアルロボット路線の元祖とされる。

もうひとつ、『機動戦士ガンダム』において重要なキーワードが、
「人類の革新『ニュータイプ』」である。超能力にも似た特別な感覚を
得た人々として設定されたニュータイプは、当初は主人公アムロに
超人的活躍をさせるためのアイデアであったが、やがて宿敵シャアもまた
ニュータイプであることが明かされ、そして同じくニュータイプである
少女ララァ・スンとの出会い、そして三人の間で起こる悲劇を通じて、
「人類の革新」とは何なのかと問いかけるに至っている。

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ウィキペディア「機動戦士ガンダム」より

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